シェフ、仔羊と格闘中

 さてさて、昨日の続きです。
 RACINE初の、食材持ち込みによる食事会。
 持ち込まれた次の日は、天神さんの市の日で、仔羊にはほとんど手をつけられず…
 当日までの時間はどんどん少なくなっていきます。


 次の日から、メニューの構成を考えながら、シェフ、ピッチをあげて下処理をしていきます。
 送られてきた食材は、内臓が多かったので、独特の臭みをとるのに、きちんとした下処理がかなり重要。

 まず、真空パックされていたので、ぜんぶ軽く水で洗って…

 消化器系の内臓などは、香味野菜と一緒に煮て、臭みをとります。
 こちらは、胃袋。
 オニオン、キャロット、セロリ、ポワロー(ポロ葱)、ガーリック、タイム、ローズマリーがお鍋のなかにたくさん。

 3時間煮た、胃袋を一度取り出し、食べやすい大きさにカットして、
 今度はトマトと一緒に煮ていきます。
 これは、トリップのトマト煮になるのです。
 写真は、カットする前の、仔羊の胃袋です。
 (羊には4つの胃袋があります。右の一番大きいのが一胃のミノで、上奥のが二胃・ハチの巣、手前のヒダヒダのは三胃・センマイ。)
 手前左の、細長いソーセージのようなものが、食道。

 こちらの、シェフが手にしているものは、横隔膜(サガリ)。
 フレンチでは、牛の横隔膜を、バベットステーキとしてよく食べますが、
 さすがに、6か月の仔羊のものは、薄くて小さいですね。

 ここからは当日。脳みそは、フライにしてお出しするので、その前にブランシール(ゆでる)。
 脳みそは、頭蓋骨の中にあって取り出すのが難しく、特に貴重な部位だそうです。
 


 その他の部位も次々に準備完了。 
 本当に「いのち」まるごといただく食卓になりそう…


 お客様持ち込みの食材でお作りするコースなので、すべて一からの仕込み。
 シェフの気合いも、かなり入っている様子。
 (武藤さんの仔羊は、実はたいへん貴重で、使いたいと思っても、簡単に手に入る物でもないそうです。)
 集中して仕込みをしているのを肌で感じ、
 私も何かできることはないかな…
 と、突然思いたって、デザートの飾り作り。


 デザートは、ガトーショコラにヴァニラアイスクリームを添えてお出しするので、
 そこに飾るのに作ってみました。
 

 喜んでいただけるでしょうか…?
 ふたりとも、ドキドキしながらお客様を待ちます。


 次回は、いよいよ 仔羊PARTYの様子をお届け致します。